もくじ
学資保険って本当に必要なの?
子どもが生まれると、必ずと言っていいほど勧められる学資保険。「みんな入っているみたいだけど、本当に必要なの?」と思ったことはありませんか?
子ども1人にかかる教育費って一体いくらかかるの? そしてあなたに最適な学資保険は?
今回は、教育費用を貯蓄するための一つの方法として、学資保険をご紹介します。
子どもの教育費、金額はいくらかかる?
教育費は、言うまでもなく、子どもに十分な教育を与えるために必要な資金。でも、これは大学へ進学するのか、理系、文系を選択するのか、進路や選択によって大きく変わります。もしかしたら、あなたのお子さまは、海外留学をしたいと望むかもしれません。
まず、ここでは一般的に幼稚園から大学まで進むことを考えた場合、どのぐらいかかるのか詳しく見ていきましょう。
幼稚園から高校までにかかる必要費用
教育費が最もかかるのは、当然のことながら、大学生の時です。
この大学進学に向けて、ほとんどの方が積み立てなどの方法で費用を貯めていきますが、もちろん大学までの幼稚園から高校までも、教育費はかかります。
つまり、幼稚園から高校までにかかる教育費を支払いながら、大学進学へ向けた教育費を貯蓄しないといけないのです。
文部科学省が実施した平成26年度「子供の学習費調査」では、幼稚園3歳から高校卒業までにかかる学習費総額を6パターンに分けて調査しました。調査結果は以下の表のとおりです。
最も安いケースで、全て公立に通った場合で約523万円。最も高いケースでは、全て私立で1,770万円です。
幼稚園から中学校までは、親の判断が進路決定に大きな影響を与えます。あなたが自分の子どもに私立に進んで欲しいのか、公立に進んで欲しいのかで、費用は大きく変わってきます。
もし、私立幼稚園に進んで欲しいのならば、ケース2やケース4を見ましょう。
驚くべきことに、全て公立に通った場合でも、520万円以上の費用がかかっていることが表から分かります。平成24年度に行われた調査結果では、オール公立のケースで約500万円だったので、2年間で約20万円も教育費が高くなっていることになります。これからも教育費の上がる可能性は、十分にあるということですね。
大学生活でかかる費用
先ほど紹介した文部科学省が行った調査では、大学学部の1年間の学費も明らかになっています。
国立の場合は673,700円、公立の場合は682,100円、私立の場合は1,319,700円。大学の場合は文系か理系か、自宅通勤か1人暮らしなのか、また初年度と2年目以降では授業料も大きく変わってきますが、現在のところ、大学4年間でかかる費用は約500~1,300万円ということです。
さらに、今まだお子さまが幼い場合には、将来の授業料が増加している可能性も否定できません。グローバル社会がさらに進んで、海外留学が必須になるという時代がやってくるかもしれません。
実際に一橋大学、立教大学、早稲田大学などをはじめとする私立大学では、新入生の留学必修化や留学が必修の学部の設立を作るという取り組みを始めています。
もしかしたら、当然のように海外留学費用も蓄えなければならない時代が、まもなくやってくるかもしれません。
教育費用はいつまでに、どれくらい貯めるべき?
このような学費の現状、時代の動きを考えると、どのぐらいの教育費用をいつまでに貯めておけばいいのでしょうか。
一般的に教育費用は、高校卒業時までに300万円あれば、十分だと言われています。ある程度お子さまが大きい場合、300万円を目標金額にしておいて問題ありません。
しかし、まだお子さまが小さい場合、目標金額は500万円と設定しておいた方が安心。大学授業料の増加、留学必須化などに備えて、300~500万円を高校卒業時までに貯めるということを目標にするのをおすすめします。
学資保険について知ろう! 学資保険A to Z
ここで、学資保険について考えてみましょう。
学資保険には、大きく分けて3つの特徴があります。
1.計画的に貯蓄できるだけでなく、支払った以上のお金を得られる可能性がある。
2.途中で簡単に積立金を引き落とせないため、誰でも目標の金額を貯蓄できる。
3.子どもの年齢が低いほど返戻率が高くなるため、早めの準備ができる。
上記で述べた通り、子ども一人にかかる教育費は最低でも1千万円を超えます。高校卒業までにかかる学習費用を払いながら、大学進学へ向けて300~500万円をコツコツと貯めるのは非常に難しいことです。
そこで、貯蓄型と言われる学資保険に加入すると、計画的に大学入学に必要な資金を貯めることができるだけではなく、支払った以上のお金を得られる可能性があります。
支払った以上のお金を得るためには返戻率に注目しましょう。返戻率が高ければ高いほど、返ってくるお金の額も増えます。子どもの年齢が低ければ低いほど、返戻率が高くなるため、早めの準備がお得です。
また、強制的に貯蓄を続けなければいけない、積立金を引き落とすことはできないという特徴があるため、誰でも計画的に、必要資金を大学入学時までに貯めることができます。
銀行積立預金や投資信託などで教育費用を貯める方法もありますが、最も安全で計画的な貯蓄方法と言われているのが学資保険。もちろん、メリットだけではなくデメリットもありますので、それぞれの貯蓄方法を比較検討して、ご自身に合ったものを選びましょう。
学資保険に特約は必要?
学資保険選びで気を付けたいのが、特約を付けるのかどうかということ。
特約とは、学資保険を購入することによって選択できる様々なオプションのこと。でも、この特約はもちろんタダではありません。どんな特約なら必要で、どんなものは不要なのか、見てみましょう。
まずは、払込免除特約というもの。契約者が死亡したり、重度の障害を負ったりした際には、それ以降の保険料の払い込みをする必要がなくなるという特約です。
この場合、被契約者は予定通り満期金を受け取ることができます。ほとんどの学資保険には払込免除特約がセットになっていて、外すことができません。
この他の主な特約は以下の通り。
1.育英年金特約
育英年金特約とは、契約者が死亡もしくは重度障害になると、被契約者である子どもに満期まで育英費用が支払われる保証のこと。
育英年金特約は収入保障保険と同じ役割があります。そのため、すでに収入保障保険に加入しているのならば、育英年金特約をつける意味はありません。
2.医療保険特約
医療保険特約は子どものための保証。子どもが入院や手術をした時の費用を一部負担してくれます。
付けておくと便利な特約のように見えますが、保険料が大きく値上がりし、返戻率を下げるというデメリットもあります。
また、特約は保険が終了すると消えてしまいます。つまり満期金を受け取り、学資保険が終了すると医療保険特約もなくなります。
3.災害特約
災害特約は、子どもに不慮の事故が起きた際、保険金が支給されるもの。大きな事故や災害に遭った後の生活を保障する特約ですね。
しかし、災害特約の補償範囲は非常に狭く、保険金が下りないという可能性もあります。補償内容も民間の保険会社が販売している金融商品の方が充実しています。
4.傷害特約
傷害特約は、子どもが不慮の事故に遭った際や、特定の病気にかかった際に保険金が支給される補償。
災害特約とよく似ていますが、傷害特約の方が補償範囲は広いです。傷害特約もまた、民間が販売している金融商品の方が内容は充実しているというデメリットがあります。
特約と返戻率の関係
学資保険に付けることができる特約のほとんどは有料です。
最初から複数の特約が付いている商品の多くは元本割れしていますし、特約を付けすぎると元本割れの原因にもなりますから、本当にその特約が必要なのか十分検討しましょう。
例えば、子どもの医療費を保証している自治体に住んでいるならば、医療保険特約は付ける必要はありません。あるいは、すでに加入している他の保険で、特約の内容をカバーできるかもしれません。
学資保険の最大の魅力は貯蓄性があることですが、貯蓄性も特約を付けすぎるとなくなってしまいます。返戻率を重視するのならば、特約を少なくしたシンプルな学資保険にしましょう。
学資保険が必要な人と、必要ない人
学資保険は、絶対に必要というわけではありません。学資保険に加入しなくても、十分な教育費用を蓄えることができる人もいます。
ここからは学資保険に加入した方がいい人と、加入しなくてもやっていける人を紹介します。あなたには学資保険が必要でしょうか?
学資保険に加入した方がいい人
学資保険に加入した方がいい人は、貯蓄が苦手な人、そして貯蓄しながら資金も増やしていきたい方です。
前述したように、学資保険は1度加入したら簡単に途中解約をすることも、途中で積立金を引き落とすこともできません。強制力が強いので、どんなに意志が弱い人でも、どんなに貯蓄が苦手な人でも十分な教育資金を貯めることができます。
また、返戻率が高いものを選ぶと、支払った額よりも多くの金額を受け取ることができます。例えば、返戻率110%、保険金支払総額が200万円の場合に、受け取ることができる金額は220万円です。学資保険の利率は、銀行の定期預金の利率よりも圧倒的に高い場合が多いのです。
学資保険に加入する必要がない人
学資保険にも加入しなくていい人は、すでに十分な教育資金を貯蓄している方です。念には念を入れて、学資保険に加入するという手段もありますが、時期が来るまでそのお金は全く使えなくなります。
また、保険会社が破産するという可能性が全くないとは言い切れません。そんな場合、9割は保証されますが、1割は失ってしまいます。
他の方法で教育資金を貯めることができるという場合にも、学資保険を利用する必要はありません。
定期預金、低解約返戻型終身保険、投資信託など様々な方法があります。どの方法にもメリット・デメリットがあるので、学資保険を含めて1度比較検討してみるといいですね。
失敗しない学資保険選びを行う4つのポイント
学資保険と一言で言っても、生命保険会社がそれぞれ、様々な種類、特徴の商品を販売しています。
ここでは、失敗しない学資保険選びのための4つのポイントをご紹介します。
1.無理なく払える保険料設定
学資保険に加入する際に、最も大切なことの1つが無理なく払える保険料を設定すること。
短期で支払いを終えた方が返戻率は高くなりますが、支払期間が短くなるということは、月々の保険料が高くなるということでもあります。
返戻率はとても大切な要素ですが、こればかり気にするのは良くありません。
大切なのは、将来的にも無理なく払い続けることができる保険料を設定すること。住宅ローンや車のローンなども同時にやりくりする家庭がほとんどですから、無理なく払い続けられる料金設定をしましょう。
2.医療特約は付けない
学資保険には、様々な特約がありますが、医療特約は付けない方が無難。返戻率を下げるうえに、補償内容がそれほど充実していないのがほとんど。自治体の制度や日頃の貯蓄で医療費をカバーした方が断然お得です。
もし、医療費助成を自治体から受けることができない場合には、単独の医療保険に入るといいでしょう。
また、ほとんどの学資保険に付いているものですが、払込免除特約は付いているものを選びましょう。親に万が一のことが起きても、子どもに十分な教育資金を残してあげることができるというのは大きな魅力。払込免除特約は学資保険ならではの特約なので、付けておくのをおすすめします。
3.貯蓄型の学資保険を選ぶ
学資保険には、⓵貯蓄型と⓶保証型の2種類があります。
⓵貯蓄型・・・特約がほとんどついていないシンプルなもの。返戻率が高い。
⓶保証型・・・特約というオプションがたくさんついていて、多くの保証型の学資保険は元本割れを起こしている。
子どもが大学進学するときに、どれだけのお金を受け取ることができるのかということが学資保険では重要です。大学進学時に必要なお金が200万円だと計画して、教育費用を積み立てたとしましょう。
返戻率90%の保証型の学資保険に加入すると、大学進学時に受け取る金額は180万円です。これでは20万円足りませんね。
返戻率110%の貯蓄型学資保険に加入すると、220万円受け取ることになり、20万円のプラスとなります。
この差はかなり大きいのではないでしょうか?
学資保険に付けることができる特約は、他の金融商品で補うことも可能ですから、貯蓄型がオススメです。
4.FP(ファイナンシャルプランナー)に相談する
ここまでで分かるように、学資保険選びは複雑ですよね。
どの商品があなたに合っているのか、特約を他の保険でカバーできるのか、払込期間はどれくらいにすればいいのかなど考えるべきことはたくさんあります。
中途解約は可能ならば行いたくはないので、最初の学資保険選びは非常に重要となります。そのため学資保険選びは、お金のプロであるFPの力を借りて行うのがいいでしょう。
FPと言っても、あなたが相談するべきFPは、どこの保険会社にも所属していない独立したFPです。当たり前ですが、A社に所属しているFPはA社の金融商品しか紹介できません。
一方、独立しているFPは各保険会社のメリット・デメリットを中立な立場で紹介してくれます。また、現在加入している他の保険を考慮した、学資保険選びを行ってくれるのも魅力的です。
FPへの保険相談は無料というケースがほとんどです。そのため学資保険選びや保険の見直しは、独立したFPと相談しながら行うのが望ましいです。
学資保険の必要性まとめ
学資保険は、数ある教育資金貯蓄方法の一部です。
もし学資保険が「自分には合っていないかもしれない」と疑問に感じたら、他の方法にも目を向けてみましょう。どの方法を選ぶとしても、教育資金は計画的に貯めておきたいものですよね。
今回ご紹介したポイントを押さえて、賢く学資保険選びをしてください。