もくじ
日本生命保険相互会社「ニッセイ学資保険」3つのメリットと2つのデメリット
「ニッセイ学資保険」は、発売から3年間で20万件の契約を達成した学資保険です。「祝い金あり型」と「なし型」からプランを選び、加入すると育児相談ほっとラインを使用できるなどの特徴から高い人気です。
加入するメリットは3つ。⓵高い返戻率⓶配当金がある⓷幅広い保険料払込期間です。
しかし、知っておかなければならない、デメリットも2つあります。
今回はニッセイ学資保険の特徴、3つのメリットと2つのデメリット、そしておすすめのプラン設計まで紹介します。
ニッセイ学資保険の4つの特徴と詳細をFPが徹底解説!
ニッセイ学資保険には、4つの特徴があります。
- 2つのプランからの選択
- 保険料払い込み免除特約
- 高い貯蓄性
- 育児相談ほっとライン
どの特徴も大事ですが、特に2つのプランの選択は学資金を受け取る回数が変わるので理解しておく必要があります。
1.祝い金あり型となし型から選ぶ
ニッセイ学資保険には、「こども祝い金あり型」と「祝い金なし型」があります。
こども祝い金とは、小学校・中学校・高校入学の時期に受け取ることができるお金のこと。祝い金あり型となし型は、祝い金の有無だけではなく、契約年齢、返戻率も変わってきます。
まずは2つのプランの詳細を見ていきましょう。
こども祝い金なし型
こども祝い金なし型は、大学入学時の年齢から毎年1回、計5回学資年金を受け取るタイプのことです。
第1回の学資年金は基準保険金額と同額で、第2回以降は第1回学資年金の50%を受け取ります。
基準保険金額が100万円の場合だと、次のような形で学資年金を受け取ることになります。
学資年金受取時期 | 第1回学資年金(18歳) | 第2回学資年金(19歳) | 第3回学資年金(20歳) | 第4回学資年金(21歳) | 第5回学資年金(22歳) | 合計 |
受取学資年金額 | 100万円(基準保険金額と同額) | 50万円 | 50万円 | 50万円 | 50万円 | 300万円 |
こども祝い金は、大学進学費用はもちろん、その後の大学4年間でかかる費用にも備えることができます。
大学4年間は、とにかくお金がかかります。授業料はもちろん、教材費、1人暮らしした場合の仕送り、留学費用、大学院進学費用、サークル活動費、交際費などを合わせると莫大な金額になることは言うまでもありません。
私立に行くのか国公立に行くのかで具体的な金額は変わりますが、大学4年間で最低でも400万円は必要と考えていたほうがいいでしょう。
ニッセイ学資保険では、大学4年間にかかる費用にばっちり備えることができます。大学2年生以降も、安定したお金をもらえるので、家計を圧迫することなく支出を行うことができるはずです。
こども祝い金あり型
こども祝い金あり型は、大学進学時から毎年1回、計5回受け取る学資年金に加え、小学校・中学校・高校入学時にこども祝い金を受け取ることができるプランです。
このプランは大学進学時、大学4年間での生活、そして各教育ステージにかかる費用に備えることができるプランです。
学資年金の受け取り方は、こども祝い金なし型と同じです。
こども祝い金は基準保険金額の20%です。基準保険金額が100万円の場合の、学資年金とこども祝い金の受け取り方は以下の通り。
こども祝い金・学資年金受取時期 | 満5歳10か月直後の2月1日 | 満11歳10か月直後の2月1日 | 満14歳10か月直後の2月1日 | 第1回学資年金(18歳) | 第2回学資年金(19歳) | 第3回学資年金(20歳) | 第4回学資年金(21歳) | 第5回学資年金(22歳) | 合計 |
受取学資年金額 | 20万円 | 20万円 | 20万円 | 100万円(基準保険金額と同額) | 50万円 | 50万円 | 50万円 | 50万円 | 360万円 |
こども祝い金あり型となし型の違いは、主に2つ。返戻率と契約可能年齢です。
どちらも後ほど詳しく紹介しますが、返戻率でいうと祝い金なし型のほうが約2%も高くなります。
2.保険料払い込み免除特約がついている
ニッセイ学資保険には、「保険料払い込み免除特約」が最初から付帯されています。
「保険料払い込み免除特約」とは、契約者が重度障害状態になったり、死亡したりした場合に、その後の保険料の支払いが免除になる特約のこと。保険料の支払いは免除になりますが、子どもは教育資金を受け取ることができます。
この特約は、保障型でも貯蓄型でも学資保険に付帯したい特約。教育資金を備えるだけなら、特に学資保険にこだわる必要もないでしょう。しかし、親に万が一のことが起きても子どもには教育資金を残してあげられる保険料払い込み免除を受けられるのは、学資保険ならではの魅力です。
3.払い込んだ保険料より多くの保険金を受け取ることができる
学資保険には契約者や子どもへの保障が充実した保障型学資保険と貯蓄性を高めた貯蓄型の学資保険があります。
ニッセイ学資保険は貯蓄型なので、保障が手薄である代わりに、高い貯蓄性を保っています。貯蓄性が高いということは、支払った保険料よりも受け取る金額のほうが多くなるということです。主な貯蓄型の学資保険は以下の通りです。
・ニッセイ学資保険
・ソニー生命保険
・明治安田生命
・JA共済
他にも貯蓄型の学資保険はありますが、上記4社の学資保険は特に高い返戻率を持っています。
一方、返戻率は低い代わりに保障が手厚い学資保険は以下の通り。
・はじめのかんぽ
・太陽生命
各保険会社の学資保険については、他の記事で解説しています。ぜひ学資保険選びの参考に、1度目を通してみてください。
4.育児相談ほっとラインを使用できる
日本生命保険の加入者は、子どもの健康や育児の疑問について気軽に専門家に相談できる「育児相談ほっとライン」を無料で使用することができます。このサービスは、特に初めて子どもを持つ方に大人気です。
育児には悩みと不安がつきもの。「夜中に子どもが嘔吐した場合はどうすればいいの?」、「離乳食の開始時期はいつ頃がいいのか?」、「赤ちゃんが急に鼻血を出したけど大丈夫?」。育児中には、様々な悩みや疑問に幾度となくぶつかります。そんな時に、ほっとラインを使用すると専門家と話すことができるのは心強いですね。
専門家は小児科医、看護師・保健師、管理栄養士。管理栄養士以外は24時間365日無料です。
ニッセイ学資保険の保障内容まとめ
学資保険では、さまざまな保障内容を確認して選ばないといけません。
今回は、ニッセイ学資保険加入を考えるときに知っておくべきことを簡単な表にまとめました。
保障内容 | 詳細 |
満期 | 22歳 |
学資年金・こども祝い金受取時期 | 【こども祝い金なし型】18歳・19歳・20歳・21歳・22歳
【こども祝い金あり型】5歳・11歳・14歳・18歳・19歳・20歳・21歳・22歳 |
契約者契約可能年齢 | 18~67歳(プラン・性別によって変わる) |
被保険者契約可能年齢 | 【こども祝い金なし型】0~6歳
【こども祝い金あり型】0~2歳 |
出産前加入 | 出産予定日の140日前から加入することが可能 |
保険料払い込み免除特約 | あり |
医療保障 | なし |
育英年金 | なし |
保険料払込期間 | 【こども祝い金なし型】5年、10年、学資年金開始年齢まで
【こども祝い金あり型】学資年金開始年齢まで |
保険料払い込み方法 | 口座振替 |
保険料払い込み回数 | 月払い、年払い |
配当金 | あり |
据え置き | こども祝い金は自動的に据え置かれる |
ニッセイ学資保険の3つのメリット
ニッセイ学資保険には、⓵高い返戻率⓶配当金がある⓷保険料払い込み期間が幅広いという3つのメリットがあります。
この3つのメリットのおかげで、ニッセイ学資保険は発売から3年間で20万件もの契約件数を達成した超人気学資保険となりました。
1.保険料値上がり後も維持する高い返戻率
2017年は保険業界にとって大きな意味を持つ年となりました。近年の低金利影響で、2017年4月に各保険会社の保険料が値上がりしたのです。保険料が値上がりしたということは、返戻率が下がったということ。
アフラックの学資保険をはじめとする、これまで元本割れしなかった学資保険が続々と元本割れを起こしてしまいました。
貯蓄型の学資保険が元本割れを起こすのは、致命的なことです。ニッセイ学資保険も以前と比べると、大きく返戻率が下がってしまいましたが、それでも学資保険の中では高い返戻率を誇っています。
ニッセイ学資保険のシュミレーション
以下の条件で、シミュレーションをして返戻率を出してみます。
・契約者:30歳男性
・被保険者:0歳
・保険料払込期間:18年
・保険料払い込み方法:月払い
保険プラン | 基準学資金 | 毎月の保険料 | 払込保険料総額 | 受取総額 | 返戻率 |
祝い金なし型 | 100万円 | 13,350円 | 2,883,600円 | 300万円 | 104.0% |
祝い金あり型 | 100万円 | 16,300円 | 3,520,800円 | 360万円 | 102.2% |
祝い金なし型のほうが返戻率は高くなります。2017年4月以降の学資保険の中で、返戻率104%という数字は高いです。ちなみに上記では月払いにしましたが、年払いにすることで返戻率は少し高くなります。
祝い金なし型だと104.4%、祝い金あり型だと102.6%まで上がります。返戻率105%前後の学資保険は少ないので、これだけ高い返戻率を保っていることができるのは大きなメリットですね。
2.配当金がある
学資保険の中では珍しく、ニッセイの学資保険には配当金があります。
保険会社は、契約者が支払った保険料を運用してお金を増やし、増えたお金の一部を戻す形で「配当金」を契約者に支払います。
学資保険の最大の弱点は、インフレに弱いことですが、配当金のある学資保険であれば大きく損することはありません。現在の超低金利の時代には、配当金に期待は持てませんが、18年という長い目で見るとインフレが起こる可能性はゼロではありません。
3.保険料払込期間の選択肢が広い
ニッセイ学資保険の保険料払い込み期間は3つあります。
5年、10年、そして学資年金開始年齢まで(17歳、もしくは18歳)です。
注意点としては、こども祝い金あり型では保険料払込期間が学資年金開始年齢までしか選べません。つまり、保険料払込期間を3タイプから選べるのは、こども祝い金なし型だけということですね。
保険料払込期間は、返戻率に大きく影響を与えます。一般的に払込期間が短いほど、返戻率は高くなります。ニッセイ学資保険では、払込期間5年が最も返戻率が高くなり、18歳までが最も返戻率が低くなります。
先ほどのシミュレーションでわかった通り、18歳までの払込期間でも返戻率は104%あります。払込期間を短くするということは、それだけ毎月の保険料が高くなるということです。無理をして5年払い、10年払いを選択する必要はないでしょう。
ニッセイ学資保険の2つのデメリット
ニッセイ学資保険は、メリットも多く、おすすめできる学資保険です。しかし、ニッセイ学資保険には2つのデメリットもあります。それが契約可能年齢制限と特約がほとんどないことです。
1.契約可能年齢制限が狭い
ニッセイの最大のデメリットは、契約可能年齢制限が狭いことです。下に表でまとめたので、ご覧ください。
・こども祝い金なし型の契約可能年齢
保険料払込期間 | 被保険者 | 契約者 |
学資年金開始年齢まで | 0~2歳 | 男性:18~45歳
女性:16~45歳 |
学資年金開始年齢まで | 3~6歳 | 男性:18~40歳
女性:16~40歳 |
10年 | 0~2歳 | 男性:18~45歳
女性:16~45歳 |
10年 | 3~6歳 | 男性:18~44歳
女性:16~44歳 |
5年 | 0~2歳 | 男性:18~67歳
女性:16~67歳 |
5年 | 3~6歳 | 男性:18~60歳
女性:16~60歳 |
・こども祝い金あり型の契約可能年齢
保険料払込期間 | 被保険者 | 契約者 |
学資年金開始年齢まで | 0~2歳 | 男性:18~39歳
女性:16~39歳 |
高齢出産した方や、祖父母が契約者となる場合は、ニッセイ学資保険に加入できない可能性が高いです。
保険料払込期間を5年にすることで、60歳の方も契約者になることができますが、経済的に大きな余裕がない方にはおすすめできません。
2.医療保障がついていない
貯蓄型であるニッセイ学資保険には、保険料払い込み免除特約以外の保障は付帯することができません。
入院などに備える医療保障はもちろん、育英年金、傷害保障は付帯することができません。もし、学資保険に保障を求めるのならば、はじめのかんぽや太陽生命の学資保険に目を向けるのがいいでしょう。JA共済は返戻率も高く、保障も備わっているので、一度詳細を確認してみるのがおすすめです。
ニッセイ学資保険、明治安田生命の学資保険、ソニー生命保険の学資保険などは無駄な保障を省いているので、高い返戻率を保つことができています。
基本的に貯蓄型の学資保険に保障を求めるべきではありません。
ニッセイこどもの保険との違いは?
ニッセイには、「ニッセイこどもの保険」という商品もありますが、これはニッセイ学資保険とは全く別物です。ニッセイ学資保険が貯蓄型ならば、ニッセイこどもの保険は保障型の学資保険です。
ニッセイこどもの保険は教育資金の貯蓄に加え、育英年金などの死亡保障がより充実したものです。
しかし、特約が付くということは返戻率が下がるということであり、ほとんどの場合で元本割れすることが予想されます。
おすすめのプラン設計は?
ニッセイ学資保険に加入する際に、決めなければいけないことは主に2つ。加入プランと払込期間です。この2つは慎重に検討しなければいけません。
ここでは、⓵最も返戻率が高くなるパターン⓶現実的で人気のあるパターンをご紹介します。
最も返戻率が高くなるプラン
契約者・被保険者の年齢に関係なく、最も返戻率が高くなるプランつくりをしたいときには、以下の4つの条件を満たす必要があります。
1.こども祝い金なし型
2.基準保険金額100万円(高ければ高いほど返戻率は高くなる)
3.年払い
4.保険料払込期間5年
学資保険では基準保険金額は高ければ高いほど、返戻率は高くなります。上記のシミュレーションでは、基準保険金額100万円の時、返戻率は104.0%でしたが、基準保険金額を70万円にすると、返戻率は101.7%まで下がってしまいます。
保険料払込期間も5年と最も短いので、返戻率が高くなるように設定されています。これに加えて、契約者・被保険者の年齢が若ければ返戻率は、105%は超えるでしょう。
現実的で人気のプラン
最も返戻率が高くなるプランは、あくまでも理想であり、あまり現実的には感じない方も多いはずです。
今から紹介するのは、現実的で多くの方に好まれるプランつくりです。条件は以下の通り。
1.こども祝い金なし型
ニッセイ学資保険には、こども祝い金なし型とあり型がありますが、おすすめは祝い金なし型です。
基本的に小学校・中学校・高校の入学費用は、収入や他の貯蓄から支払うことが可能です。高校入学時はまだしも、返戻率を下げてまで小学校・中学校入学時に祝い金を受け取るメリットはあまり感じられません。
また祝い金も基準保険金額の20%と、それほど多くはありません。
2.基準保険金額100万円
基準保険金額は100万円がおすすめです。100万円だと、大学進学時に100万円、それ以降は50万円を受け取ることができます。
しかし、70万円の場合は、大学進学時に70万円、それ以降は35万円しか受け取れません。基準保険金額が70万円の場合は、資金不足に陥る可能性もありますので、念のため100万円に設定するのがいいでしょう。
3.月払い
理想は年払いですが、年払いの場合は契約月に約15万円支払うことになります。
他の家計のやり取りもあると、15万円の支出は大きな負担となります。大切なのは家計を圧迫することなく支払を行うことなので、月払いにしました。
4.保険料払込期間:学資年金開始年齢まで(可能ならば10年)
多くの方にとっては、学資年金開始年齢まで保険料の支払いを行うのが現実的でしょう。5年払いは無理でも、10年払いはできるという方もいるはずです。
10年払いだと、返戻率が上がるだけではなく、義務教育中に保険料の払い込みを終えることができるというメリットもあります。払込期間は、特に重要な要素なのでじっくりと考えましょう。
ニッセイ学資保険まとめ
ニッセイ学資保険は、105%前後の返戻率を持つ、おすすめできる学資保険です。もし、学資保険に貯蓄性を求めるのならば、検討してみましょう。
今回はさまざまなポイントを紹介しましたが、絶対に押さえていただきたいのは、以下の4つのポイント。
1.ニッセイ学資保険は配当金があるためインフレに強い
2.祝い金なし型のほうが祝い金あり型よりも約2%返戻率が高くなる
3.保険料払込期間は、5年、10年、18年から選べる
4.契約可能年齢が狭いというデメリットもある
ニッセイ学資保険のほかにも、高い返戻率を持つ学資保険はいくつかあります。複数の学資保険を比較して、あなたに合ったぴったりのものを選ぶようにしましょう。